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bloody’s diary

☆血反吐を吐きつつ書くブログ☆

小説「火星の人」の気になる表現

読書 映画

先日見に行った映画「オデッセイ」

bloody.hatenablog.com

 感想にも書いた通り元気いっぱいのショーン・ビーンを見ることが出来て!とても満足しました。

TwitterのTLを見ていたら原作も評判がよく、タイミングよく手に入ったので原作版を読んだのですが気になった点が2つ。

火星の人

火星の人

 

 ↑この表紙の文庫だと202ページ。

NASAとの文章による交信が可能になった場面、嬉しさのあまりはしゃぐ主人公のワトニーは「きみが打ち込んだ内容は全世界に生中継されている」とたしなめられこう返します。

ワトニー: 見て見て!おっぱい→(おっぱいのアスキーアート)

 

もう一つは234ページ、ワトニーの事故についての検討委員会が立ち上がるという知らせに、クルーに責任を押し付ける魔女裁判じゃないかと怒ったワトニーが返す文章。

 

もうひとつ、委員会の連中全員に、お前らの母親は娼婦だと伝えて下さい。

                       ―――――ワトニー

                追伸:姉妹も、と加えておいてください

 

 

おっぱいの時点ではまだなんとかスルーできたのですが、相手への罵倒として「母親が娼婦」が出てきた時はショックで思考停止してしまいました。

というのも映画では、私が気づいた限り、覚えている限りではこういう性差別的なジョークをワトニーは使用してなかった、映画ではおそらく変えられていたからです。

最初の方、映画ではけっこう詳細に描写された手術のシーンが原作では

ちゃちゃっと局所麻酔を打って、傷口を洗って、9針縫って完了。

だけで終わってるのを読んだ時には監督のリドリー・スコットにWHY?と尋ねたい気持ちになりましたが、それに比べたらもっと重大な部分を変更してくれてたので納得しました!

 

こう書いてみても自分でさえ些細な事に思えるし、重箱の隅をつつくみたいで恐縮なのですが、本当にその他は自分の知性と知能とユーモアと楽観と自分と科学技術へ揺るぎない信頼と自信でどんな困難も乗り越えていく楽しい小説なんですよ。

色んなトラブルが起こるけど、あるものと知識を駆使して一つ一つパズルを埋めるみたいに解決して次のステップに行く。

なのに、滑稽なジョークとして女性の体の表象を使用する。(もしかしたら男性の胸かもしれないですが、文脈としては女性と考えるのが妥当)

相手を罵る時に、その本人でなく母親や姉妹などが娼婦であると罵倒する。

これは現実でもよくあることです。色んな場面で見かけます。

でもまさか、近未来を描いたSFで、人類の中でもトップクラスの頭脳と肉体をもち、ユーモアに溢れどんな困難も乗り越えるナイスガイの宇宙飛行士が、普通の男性と同じような性差別ジョークを使うなんて!と衝撃を受けてしまいました。

 

とはいえ私が読んだのは上述している通り、日本語に翻訳されたものなのでオリジナルはどうなっているかは分かりません。

文庫版の解説には2009年に書き始めて、出版されたのは2014年となってます。

今と価値観がそう大きく隔たっているとも思えません。

もし原書も同じようなニュアンスの表現なら、多分紙媒体で出版される時にエージェントが入ってチェックとかもあったと思うのですが、それで問題ないと判断されたのでしょうか?この辺の事情がよくわからないのでなんともいえませんが、喉にひっかかった小骨のように不快で、その後私はこの小説を心から楽しめませんでした。

本当にストーリーにはほとんど響かない部分で、性差別的なジョークでなくても話が通じるのに何故これがそのまま通ったのかと思いましたが、まだまだ現代はそういう時代なんでしょうね…