読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

bloody’s diary

☆血反吐を吐きつつ書くブログ☆

マッドマックス コミック&アート集 4

マッドマックス

マッドマックスについてなら永遠に語ってられるんじゃないか疑惑が出てきましたが続き。

bloody.hatenablog.com

5人の中で一番初めに妊娠したアンガラッドはフュリオサと衝突することで、なんとか妊娠を受け入れますが、作中ではもう一人妊娠しているワイブス、ダグがいます。

映画でも、砂漠に出て鉄馬の女たちと合流し、ダグ自身の口から告白するまで私も気づきませんでした。

マッドマックス 怒りのデス・ロード(字幕版)

マッドマックス 怒りのデス・ロード(字幕版)

 

 

コミックスではアンガラッドの妊娠が判明した後、ジョーは今まで幼すぎて手を出していなかったチードにいよいよ手を出そうとします。

それを体を張って止めるのがダグ。

「この子だけはお前の毒に汚させない!」と捨て身でジョーに反抗する。

この部分はオリジナルコミックでは

「SHE'S THE ONLY THING HERE NOT INFECTED BY YOUR POISON!」

です。直訳すると、「彼女はここで唯一お前の毒に侵されてないモノなんだ」ですかね。the only thing.

 

既にジョーの慰み者となってる4人と、シタデルで生まれ育って純粋で繊細なままの

チード。

彼女は絶望したアンガラッドに声をかけたり、フュリオサの身の上話を聞いて思いやりや共感の言葉を送れる優しさをもった少女でもあります。

そして唯一ジョーの汚い手から逃れている。

ジョーにとってアンガラッドのお腹の子が宝物であるのと同時に、ワイブスにとってチードは、ジョーによって無くしてしまった美点や奪われたもの、希望の象徴でもあるのかもしれない。そしてワイブスの中で一番若く弱いものを守るという、当然で人道的な判断を彼女たち、とりわけダグはしました。

そのせいで、ジョーの逆鱗に触れたダグは髪をひっつかまれて手酷い性的な暴力を受け、結果的に妊娠してしまう。

チードを守りジョーに歯向かった代償にダグにとっては大きかった。

 

悲嘆にくれるダグをチードは「必ずここから逃げるの」と励まし、そこで初めてフュリオサがダグ話しかける。

「緑の地がある」と。

「母たちの住む地 植物がある 木々がある 動物さえもいる。

男もいる。だが支配していrのは女たちだ。食事をつくり子どもの世話をする。

未来への希望がある」

 

 

その前の段階、アンガラッドの堕胎で衝突した後に沈黙の何週間かが過ぎ、ケイパブルがフュリオサに自分の暴言を謝った後、彼女らの関係は前よりも良好なものとなり、少しの雑談を交わせるようになります。

緑の山々を写した絵葉書をアンガラッドと一緒に眺めていたダグがフュリオサに「こんなところって本当にあると思う?」と聞き、フュリオサは「どうかな」と首をかしげる。ダグは失望して顔をしかめますが、アンガラッドが「ここでさえなければ、どこで育とうと赤ちゃんは幸せになれる」と慰める。

 

それを受けての「緑の地はある」「希望はある」なんですよね。

彼女らは衝突を何度かしてお互いを分かり合っていく。

アンガラッドとお腹の子を守ろうとしたフュリオサとの衝突。

チードをジョーから守ろうとしたダグの勇気とその代償。

フュリオサの言葉を聞いてワイブスは「希望だけで十分」「そこに連れて行って」とフュリオサに懇願する。

 

しかしダグの反逆へのジョーの怒りは深く、彼はワイブスに今までのような自由は与えないと告げ、フュリオサの護衛の任を解き、ワイブスには貞操帯を与える。

なので映画でも印象的だった貞操帯は、本当に彼女たちの貞操を守るためではなく、彼女たちへの罰のため、屈辱を与えるためのもの。

妊娠を受け入れられないダグをチードは慰めようとしますがダグは声を荒げる。

「何がわかるの?あんたはお気に入りだもんね。喉にこぶしをつっこまれたりしない。

首をしめられたり、壁に投げつけられたりも」

ダグが暴力をふるわれていたこと、ワイブスの中にも扱いに差があったことがわかる。

だからこそ映画の中でダグはワイブスの中で唯一捨て置く貞操帯を蹴りつけ、ジョーに睨まれた時に憎々しげに罵倒の言葉を吐く。

 

映画が公開していた当時、Twitterに流れた感想で「赤ん坊が単純な希望としてあつかわれてないのがよかった」というのがありました。

性暴力による望まぬ妊娠はどこにでも起こっています。レイプは戦争の手段であり、未だに苦しんでいる女性も入る。赤ん坊に罪はないと言うのは簡単です。が望まぬ妊娠を強いられた当事者はそんな言葉では割り切れない。

レイプされるのもその後遺症も被害者を苦しめ苛み、その結果の妊娠もまた心身を傷つける。産むにしても中絶するにしても被害者は相当の苦しみを感じます。

被害者は何も悪くないのに宿った命まで負わされるのは言語を絶するほど残酷なことです。

アンガラッドはフュリオサに止められ思いとどまったとはいえ耐え切れずに自ら堕胎しようとしたし、ダグは宿った命を悪魔の子と呼び憎んでいた。

アンガラッドは葛藤を越えて産む決意をした。シタデル以外ならば子どもと一緒に幸せに生きていけると信じた。

ダグはチードを守るためにジョーに逆らった。今までワイブス誰もできなかったことです。ダグは結果的に妊娠しジョーの逆鱗に触れ、ワイブスには貞操帯が課せられますが、彼女の勇気はワイブスを勇気づけた。

ダグも葛藤を抱えながらもフュリオサが語る希望に賭けた。

絶望を乗り越えた希望は強い。

そしてフュリオサもそんな彼女たちの希望に掛けました。

 

 

終わらない気がしますが、また次回。