bloody’s diary

☆血反吐を吐きつつ書くブログ☆

「百年法」読んだ

SFお好きですか?

私は特にそのジャンルを愛好しているわけではないし、あまり読むこともないです。

でもScience Fictionの略でSF、科学小説という響きから勝手に新しい世界や価値観を切り開いていくかっこいい小説のジャンルという思い込みがありました。

それをガッタガタに打ち壊してくれたのがこの小説です。

百年法 (上) (角川文庫)

百年法 (上) (角川文庫)

 

 あまり熱心に読んでないので私の理解の仕方が間違ってるかもしれませんが、簡単に説明すると第二次世界大戦の敗戦によりアメリカの占領下に入り、共和制に移行したパラレルワールドの日本が舞台になってます。

そしてヒト不老化ウィルスによって人間をほぼ不老不死にさせる処置がほとんどの国民に施され、肉体的には処置をする20代半ばほどから老化することもなく、加齢による病気や障害にもかからず、人はほぼ不老不死になって長生きする。

そうなると今の超高齢化社会と同じく、老齢者がいつまでも現役のまま引退もしないので、老齢人口がだぶついているせいで景気も悪く若年層の労働環境なども悪くなる。

そのために不老処置を受けてから100年経過したら強制的な安楽死を受けなければならない、という法律が施行されようとする、その百年法にまつわる物語です。

 

発売された当初かなり話題になり、いろんな書評で取り上げられたのが記憶にあり、とても期待して読み始めたのですが。。。

 

 

 

20才の時に不老処置を受けた実年齢98才の女性パートで、この世界の女性についての描写がいくつかあります。

 

男関係から足を洗った女は決まって食欲に走る。食事が乱れれば肌が荒れる。(略)いくら肉体的には若くとも、外見がくすんでくる。だからリタイア女は、一目見てすぐにわかるのだ。(略)

 ただ、精神的にせよ完全にリタイアすると、実際に生殖器の機能が衰え、生理が止まると聞いたことがある。いったん止まると、回復させるのは難しいとも。

 

まず「男関係から足を洗う」???

足を洗うって多くは悪い状態からぬけ出す時に使う言葉だと思うのですが。

それに全ての女性のモチベーションは男が源泉である、みたいな偏見もどうなんでしょう。

女は男に興味が無くなるとその興味は全て食欲に行く、って物凄い偏見です。

そしてリタイア女という言葉にも白けます。

女ってリタイアできるものなのですかね。

女性の中でも同性愛者や男にはまったく興味がない人、それどころか自分が女性であること、生殖機能があることを受け入れられない人も多くいますが、そんな意識とは関係なくそこそこ健康であれば生殖機能は働き生理は続きます。

私のように毎月律儀に訪れる生理や妊娠可能な体を疎ましく思ってる女性も多いでしょうが、それは年をとって体の機能が衰えるまで、男どうのこうの関係なく続くものです。

また男性から性的に眼差される若い女性でいるのが嫌で、早く年を取りたい、おばさんになりたいと願う女性だって少なくはない。

 

次に私が「ん?」と思ったのは次の文章です。

 

昔、こんなことを聞いたことがある。

大きく分けると、女の人生は二種類しかない。子どもを産む人生と、産まない人生。

 

え?そんな単純な話か?そんな単純な二分論にしていいのか?

と思いましたが、この物語の時点で2048年、彼女は98才だから1950年ごろに生まれてるのですね。

現在2015年の時点で65才。だいぶお年を召しています。

心身の状況、もしくは経済状態のせいで産みたくても産めない人、子どもを諦めざるを得なかった人、もしくは産みたくないのに強制的に産まされた人、産もうと思って妊娠したのに不幸にも流産・死産してしまった人、意図的に生まないことを選択した人、等々妊娠出産にまつわって起こる様々な状況に理解が及ばない年代なのかもしれない。

それは次の描写で決定的になります。

 

HAVI(不老処置)のせいで肉体的な若さは対して違わないはずなのに、自分よりも年上というだけで同性を蔑み、年下というだけで同性を妬む性癖は、女という生き物のDNAに刻みつけられているらしい。

 

DNA!!!DNAに刻みつけられている!!!女という生き物!!!

まじかーーーーー!!!これSFかーーーー!!これが科学小説かーーーー!!!!

こんな昭和のおっさん的価値観でクラシカルな男女論をぶちかますのがSFなんかーーーー!!!

先にこういう思想の元書かれてますってゆっといてくれーーーー。

私絶対読まなかったのにーーーーー!!!

 

と後悔しても後の祭り。

他にも「売春を禁止したら性犯罪が増えたので売春合法化した」等、首をかしげるところも多かったです。

 

私はこういう女性の描写が嫌で日本の男性作家の小説を読むのをやめたんだよなあと苦い思い出が呼び起こされましたよ。

本を読むのを再開してからこっち、読んできた男性作家の作品はほとんどが許容範囲だったので油断してました。

期待していただけにがっかり度は半端無かったです。

百年法 (下) (角川文庫)

百年法 (下) (角川文庫)