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bloody’s diary

☆血反吐を吐きつつ書くブログ☆

「時効捜査」読んだ

本がやっと本調子(!)で読めるようになって以来、ノンフィクションを少しずつ読むようにしています。

今回は1995年に発生し、2010年に未解決のまま時効を迎えた警察庁長官狙撃事件を題材にしたものです。

時効捜査 警察庁長官狙撃事件の深層

時効捜査 警察庁長官狙撃事件の深層

 

 当時ものすごく話題になり、連日テレビ報道があり、私も見ていた記憶があります。

だからだいたい知っているだろうと高をくくって読み始めたのですが、子どもであった私が把握していた事件と、大人になってから振り返るのとでは違ってくるんですね。

当たり前のことですが、子どもの認知能力と大人のそれとではまったく把握できる範囲が違ってくる(当然後者の方が広い)のだなと改めて思い知りました。

 

さてこの事件は出勤する警察庁長官が白昼堂々と銃撃を受けた事件であり、本来ならば警察がその威信をかけて捜査し、解決しなければならないはずでした。

しかし事件発生直後から犯人と目されていた宗教団体の担当の公安と、地道な捜査で証拠を積み上げていくのが信条の刑事部とで対立が起こっていたそうです。

そして戦時中スパイの育成期間であった陸軍中野学校を系譜に連なる公安が主導権を握ることで、見込み捜査の秘密主義になり、現場に情報は下りてこなくなる。

もちろん捜査は混乱し、考えられないミスが連発する。

また公安が犯人と定めた容疑者に固執するあまり、有益な目撃情報は無視されます。

そして容疑者の情報も秘密にされたまま公安の捜査員たちは容疑者の身柄を確保、1年近く軟禁して取り調べをするという前代未聞のミスを犯します。

 

事件では犯人が撃ったのは4発、うち3発が被害者の正中線近くに命中し、それた4発目も2ミリ程度の誤差でしかありませんでした。

また銃弾を調べた結果、アメリカの大手メーカーの模造品という特殊なものであり、また犯人自ら火薬を調整した可能性があったそうです。

銃、弾丸ともに命中率と殺傷能力の高い組み合わせを選んでおり、高い技術と知識が伺えると推測されました。

民間の専門家の協力の元、調査や実験をした結果、警察の射撃訓練教官でさえ同じことはできないことが分かり、犯行はプロのスナイパーに寄って行われた完成度の高い仕事であるという鑑定結果が出たのに、射撃の能力もそれほど高くない容疑者に捜査員たちは固執し続けたことになります。

また容疑者を犯人に仕立てあげたいあまり、捜査員は犯行に使われたであろう銃の写真を見せて容疑者に絵を書かせ、それを秘密の暴露として使ったというエピソードも有りました。

足利事件でも同じようなことが行われており、警察のやり方としては珍しくないのかとゾッとしました。

 

事件発生から事件にまつわることを細かく調べあげたかなり厚みのある読み応えのある本でした。

 

警察庁のトップという要人が被害を受けてさえ、こんな杜撰な捜査しかできていないのなら、名も無き一般人が被害に遭ったらどうなるんだろうと心配していたところに飛び込んできたニュースがこれです。

集団強姦容疑の巡査部長を釈放 大阪地検、処分保留で

www.asahi.com

警察組織というのは一般市民にはよくわからない倫理観で動いているというのを目の当たりにして薄ら寒くなりました。