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bloody’s diary

☆血反吐を吐きつつ書くブログ☆

「仮想儀礼」読んだ

読書

ペテロの葬列のドラマを見て宮部みゆきの本を何冊か読むうちに、マインドコントロールに興味がでて、それに関連する本を数冊読んでます。

今回は小説。
失業した中年男二人が出版できなかったゲームブックの構想を切り張りしながら新興宗教団体を作り上げていく話です。
仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫)

仮想儀礼〈上〉 (新潮文庫)

 

 主人公は出世街道にのったエリート役人の道を作家の夢のために捨て、できた時間を使って書き上げた五千枚に及ぶゲームブック出版社が倒産して職も家族も失った男。

元役人であることを活かし、生活に困っている人には適切な福祉を受けられるようにわかりやすいアドバイスを、体の不調を悪霊のせいじゃないかと言ってくる人の話を傾聴してふさわしい専門の病院を。

確かに役所の福祉や困窮者への支援というのは申請主義で、その制度があるという知識があり、なおかつそれを理解して複雑な申請をこなさなきゃいけない。

そういや韓国映画が少し昔を描く時、怪我や病気でもいわゆる病院には行かず鍼灸や漢方に頼ったりするのをよく見るし、日本もかつてはそうだったんだろうなと。

(展開ネタバレあり)

 

 

 

正彦が答えたのは、給料請求の具体的な手続きであり、母親の介護に関しては、相談に乗ってくれる自治体の窓口を具体的に教え、要領よく事態を伝えられない女に代わり、電話をかけてやった。

 教祖の仕事とはとうてい思えない。しかし普通の家庭生活を送っている多くの女性が、心の問題や神様について云々する以前に、社会のシステムや制度についての正確な知識を持っておらず、そのために問題が解決できず、相談相手もいない状況に置かれていることに正彦は驚かされていた。

 

 

これ本当に体制側に入るお役人でもない限り、一番使う機会があるであろう福祉システムでさえ複雑すぎて把握できないんですよ!!

まず調べた時点でわからなすぎて消耗する。

それを乗り越えられたとしても、次の段階で障害や病気を抱えている弱った人には過酷すぎる書類書きに次ぐ書類書き、複数に渡る窓口、あっちにいったりこっちにいっての申請に次ぐ申請。

 私も体の不調を抱えながらでしたけど、家族もおらずもっと症状が深刻な人はどうすればいいんだろうとぞっとしました。

 

さて主人公たちが作り上げた教団は一人の企業の経営者の目に止まり、その人脈を使って大きく発展していきますが、脱税事件をきっかけにして大多数の信者が去り、資金も底をつき始めます。

主人公たちの元に残ったのは教団設立時からいる女性信者、それも非常に重い事情をかかえ、教団以外に居場所のない女性たちです。

主人公は女性を馬鹿にしているけっこうなミソジニーの持ち主なんですが、それでも寄る辺ない彼女たちを精一杯守ろうとする。

そうするうちに嘘で塗り固められまやかしで始まった彼らの宗教が、彼女らの真摯な祈りを得て本物になり始める。

トランス状態に陥った女性信者に暴行を受け、傷つきながらも教祖である彼は彼女らと生を共にする。

ロジックで塗り固め、ゲームのように始まった彼らのお手製宗教は、最後に本物の宗教になってしまいます。

その逆転劇には唸らされました。

 

主人公の相棒役の優男が、胡散臭い登場の仕方をするので途中で裏切っていなくなったりするのかな?とハラハラしてたら、意外や意外最後まで付き合ってかなり感動的な分かれ方をしていてBL的にも楽しかったです。

仮想儀礼〈下〉 (新潮文庫)

仮想儀礼〈下〉 (新潮文庫)