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bloody’s diary

☆血反吐を吐きつつ書くブログ☆

「家族喰い」を読んだ

本ではサブタイトルに「尼崎連続変死事件」ウィキペディアでは単に「尼崎事件」となってますね。

発覚した当時、世間を揺るがせた事件を取材したルポタージュです。

家族喰い――尼崎連続変死事件の真相

家族喰い――尼崎連続変死事件の真相

 

主犯格の 女性が逮捕されたものの留置所で自殺してしまったために、事件の全容は闇に葬られたのではないかと表面的な報道を見ていて当時私は思っていたのですが、主犯女性の生い立ちを含めて複雑な事件の全容を追ってあり、私が疑問だった点も解きほぐしてくれました。

 

本でもかなりぼやかしてあるのですが、おそらくこの主犯格の女性がしたような犯罪を美味く運ぶための法律的、人心掌握の心理的ノウハウを持っている集団、おそらく暴力団のような反社会的勢力のような存在がある。

で、もしかしたらそういう勢力のどこかは当局とつながっているのかもしれません。

というのも、事件が起こるかなり前、主犯格女性の父親が借金のトラブルを起こした時に女性は知り合いの社長に頼み込み、その社長が懇意にしている警察署長に申し入れてトラブルを解決したというエピソードがありました。

被害者が何度警察に駆け込んで被害を話してもまともに取り合ってくれないどころか、相談したという記録さえ残していなかったという話を読んで、気持ちが重くなりましたよ。

www.nikkei.com

ちょうど警官が醜悪な犯罪に絡んでいたというニュースが出たのですよね。

性犯罪もそうですが、日本でどれだけ警察に訴えて、被害を届け出ても受理もされずデータとして残らない犯罪はどのくらいに登るのでしょう。

それがすべて白日のもとに晒されたとしたら、「日本は治安の良い国」だとのほほんとしていられないのではないでしょうか。

 

また、本には警察の民事不介入という原則を徹底的に利用した加害者たちのやり口が述べられていました。

まず被害者となる家族に狙いを定めたら、分断工作をする。

多くは子どもたちに贅沢をさせ特別扱いをし、親身になって向き合うふりをし、親への不満を引き出すことで心を掴む。

そして子どもたちから引き出した情報で親たちを責めさせ、家族の絆を引き裂く。

そして毎晩、家族会議を開き、眠らずに夜中お互いを批判し罵倒しあうように仕向け、時折暴力をふるって恐怖を植え付ける。

睡眠不足でもうろうとしながらそうすることで、一種の洗脳状態に陥るそうです。

 

この少し前に「心をあやつる男たち」という、高度経済成長時代に企業の管理職セミナーとして隆盛を誇り、同時に被害者を多数出したST(センシティビティ・トレーニング)のやり方と似ているのですよね。

心をあやつる男たち (文春文庫)

心をあやつる男たち (文春文庫)

 

 そして家族ごと手中におさめて、主犯女性は自分が直接は手を下さず、金銭も暴力も家族のトラブルに見せかける。

被害者は同時に加害者でもあるため、主犯たちと共犯関係になり、余計被害を届けにくくさせる。

責められている方の家族が警察に駆け込んでも、主犯側についた家族が「内輪もめだ」と説明すると警察は手を出せない。

一人、彼らの要求をはねのけた女性は警察が役に立たないことを知ると弁護士に相談し事なきを得たそうです。

また彼らに近づいて来られても毅然として跳ね返すことのできた人たちについては、しつこくは食い下がらずさっと引き下がったとも書かれてありました。

被害者たちの弱みを握り脅すために度々自分のバッグには暴力団がついている臭わせていたようですが、実際にそれほど強い結びつきはなく、ある組関係者とトラブルになった時は平身低頭して謝罪し、後日丁寧な詫び状を出したと。

弱者に対してはどこまでも傲岸にふるまい、勝ち目のない相手には卑屈に見えるほど平伏するタイプだったようです。

 

本によると主犯女性は洞察力に優れていたために、自分の獲物にふさわしい人間を注意深く嗅ぎ分ける、いわゆる勝てる勝負しかしなかったようです。

また、主犯女性は生活保護受給者や年金受給者を利用した、貧困ビジネスにも手を出していたのではないかという記述もありました。

薄いつながりから葬式に参加し、その規模から資産状況を把握するなどして、その家の財産を奪い取るノウハウを蓄積している集団があり、そことのつながりが強かったようです

おそらくそこには警察の捜査や法律に明るい人間がいるはずで、そうなると当局がなかなか捜査をしなかった、そしていまだに手を出せないでいるのかなと考えずにはいられませんでした。