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bloody’s diary

☆血反吐を吐きつつ書くブログ☆

映画「マッドマックス 怒りのデスロード」見てきたよーーーー!!!!! 3

マッドマックス 映画

もう書きたいことがありすぎてまとまらないんですけどね!!!

wwws.warnerbros.co.jp

ええと前回どこまで行きましたっけ?

 

あ、そうそう生まれてくる子、ダグちゃんのお腹にいるのは女の子だと、汚染されていない種を携えた老女が祝福するところですね!!!

 

ああでもこれを書くとしたら家父長制のことを書かなきゃだし、そうなってくるとフュリオサの名前の由来にも触れなきゃだし、ちょっと私の手には負えないかもだけど頑 張 る ね !!!!!

Mad Max: Fury Road (Original Motion Picture Soundtrack)

Mad Max: Fury Road (Original Motion Picture Soundtrack)

 

 (ネタバレあるよ)

 

 

まずこの映画の実質主人公フュリオサの名前。

ブラッド・ピットが主演して話題にもなったし私も見に行った「フューリー」(しんどい映画だったよ!)、あれと同じで意味は憤怒、激怒、等々を意味し、頭文字が大文字ならば復讐の女神の名前です。

furiosaはスペイン語だっけかな?ギリシャ神話だとエリニュスに対応します。

(多分詳しく論じている方が他にいらっしゃるので探してください!!!!)

 

エリニュスは三枝和子によると母系社会時代に力を持っていた神で、肉親の怨恨殺人などにおいては徹底的に犯人を追い詰めて断罪する恐ろしい女神です。ある時点、父権が強くなり母権を抜いて女達を抑圧するようになるまでは母親側につく神なんですよね。

ある時点、父権が強くなり母権を抜いて女達を抑圧するようになるまでは、数いる神々の中でも位が高く、母親側につく神なんですよね。

 

ちょっと脇道にそれてギリシャ悲劇の話しますね、アイスキュロスのオレスティア三部作。

ご存じの方も多いと思うのですが、アガメムノンはトロイ戦争にアルゴスの王として出征し、戦利品としてトロイアの王女カサンドラを連れて凱旋する。

しかし残された妻クリュタイメストラはアガメムノンの従兄弟アイギストスと情を通じ、謀をしてアガメムノンを殺す。

アガメムノンとクリュタイメストラの子どもでありアルゴスの王子オレステスは父の仇として母親を殺して復讐を遂げるものの、母を子が殺したという咎により復讐の女神であるエリニュスに追い回され狂乱して諸国をめぐり、デルポイの神殿に辿り着き、アポロンの恵みを受けアテナイの最高法廷で裁きを受ける。

エリニュスは激しくオレステスの母殺しを責めるものの、アポロンとアテナがオレステスを擁護して結局は無罪となる、というのが大筋です。

 

私はこの話を始めて読んだ時、どうしてクリュタイメストラの夫殺しについてエリニュスは責めないのだろうかと不思議だったのですが、その疑問を氷解してくれたのが三枝和子の解説です。

ギリシア神話の悪女たち (集英社新書)

ギリシア神話の悪女たち (集英社新書)

 

 (これは「そういう風に読み取れる」という話で学術的な根拠はありません)

 

エリニュスはアポロンやアテナ、その父であるゼウスよりも古い神です。

三枝和子は、「アガメムノン」「供養する女たち」「慈しみの女神たち」は母系から父系への過渡期に書かれた、価値観が移行している時期の話とも読み解けると書いています。

つまり母系の時代に位高く大きな力を持っていたエリニュスが、ゼウスという父なる神を頂点とした家父長制の神々によって復讐という本質を奪われ、慈しみの神にされてしまうことにそれが現れているとのこと。

 

劇中でオレステスに剣をふりあげられたクリュタイメストラが自分の服をはだけ乳房を見せ、「お前はこの乳房にすがり乳を飲み育った、そんなお前を掻き抱いて慈しみ育てたこの母を殺すのか」と責めるものの、オレステスは迷いながらも「お前は私の立派な父上を侮辱した」と母親を殺める。

ここにおいては母親を殺してでも、父親の名誉を回復し仇を討つ方に重きが置かれている。

クリュタイメストラは古くはアルゴスの女王ではなかったのかと三枝和子は考察しています。

彼女から見ればアガメムノンは既に去った男であり、新しい夫を持つのは当然のこと。

彼女の論理から言えば、アガメムノンはクリュタイメストラの地を離れたのだから戦勝地のトロイアに残って、その地でカサンドラと結婚して暮らしていればよかったのです。

それなのに愛人としてカサンドラを連れ帰ったことはクリュタイメストラに対する侮辱でも有り、また戦のためにクリュタイメストラの娘の一人を生贄に捧げてもいたアガメムノンは殺されて当然の男だった。

それに対してオレステスは家父長制の論理で動きます。

彼にとっては産んで育ててくれた母親への恩よりも、父の名誉や権力の方が大事です。

その父親をないがしろにして殺した母は、父を殺したというだけでなく家父長制の原理まで揺るがした許しがたい罪をおかした。従ってその報復をせねばならない。

オレステスはアポロンの神託を受けて母を殺すことを決める。

エリニュスは子が血の繋がった母親を殺すなんてとんでもない、恐ろしい罪だとオレステスを責める。

古い母系の側に立つエリニュスと、既に家父長制の中にいるアポロンとアテナは争い、最終的にエリニュスが破れて「復讐神」という本来の姿を失い、オレステスは無罪を勝ち取る。

ギリシア悲劇〈1〉アイスキュロス (ちくま文庫)

ギリシア悲劇〈1〉アイスキュロス (ちくま文庫)

 

 

と長くなりましたが、私が復讐の女神と聞いて一番最初に思い出したエピソードをご紹介しました!!!また余裕があったら、この本の感想で別の機会に語るね!

 

 だから妻たち、そしてやがて母親になる女達の側に立つ、復讐の女神フュリオサなんですよ!!

家父長制の神に破れて本質を失う前の復讐神に立ち返るという、神話ですね、神話!!!

 

そのフュリオサは追撃を交わしやっと辿り着いた見覚えのある土地で名乗りをあげるじゃないですか。

「私はメリー・ジャバサの娘!」と。

名付け親も女性であり、その名乗りに答えて集まってくるのも女性。

老女たちは「ジャバサにそっくり!ジャバサの娘に間違いない!私達のフュリオサが戻ってきた」と歓喜する。

父親の出自は問われない、誰の娘であるか、誰が産んだかだけが問われる母系集団であることが示唆されてます。

 

それに対してイモータン・ジョー軍団は家父長制ですよね!

実は最初にこの映画を見てしばらくはそこに気づけなかったんですよイッケネーテヘペロ☆

 

私は日本的な考え方に縛られていて血がつながった家族で構成されるのがイエだと思い込んでいたのでピンとこなかったのですが、鉄馬の女たちが母系だということに気づいてからやっとその家父長制構造に気づけました!!

 

パンフレットにも砦にいる構成員たちはジョーが養子などにして育てている男たちなんです。

歪ではあるけど、砦には家族が住んでいて、ジョーを頂点に彼の息子たちが幹部になり、その下に別の男がいて、というピラミッド型の封建社会。

他の男の子を産まぬよう、女達は外部から厳重に守られ、ウォーボーイズは去勢されていることが匂わされます。

日本の大奥、中国の高級、中東世界のハーレムなんかと一緒ですね。

前日譚によるとフュリオサはジョーの息子リクタスから女達を守るために護衛に付けられ彼女たちに近づいたそうで、息子さえ女達から遠ざけた。

そして彼は健康な跡継ぎの男児の誕生を待ち望んでいる。

跡継ぎは男でないと意味が無い

 

そんな家父長制の集団から女達を助けて逃げ出し、母系集団に帰ろうとするのが母系の女神フュリオサなの!!!

神話でしょ????神話だよね!!???

 

でも戻れない、戻ってもそこに故郷は、安住の地はない。

なぜなら歴史は不可逆だし、フュリオサは神ではないから!

どれだけ美しく懐かしくても過去に戻ることはできない

母系から父系になったからといって父系から母系に逆戻りすることはできない

だから人間たるフュリオサは女達を連れてきた道を再び引き返す。

 

ていうのがおおまかなストーリーで、ダグちゃん、そうダグちゃん!

だから種持つ老婆が「お腹の子は女の子」と告げるのは祝福なんですよ。

女の子だからジョーの子どもじゃない、鉄馬の女という我々の集団に属する子であるり、醜いジョーではなく美しいあなたに似て産まれる(フュリオサの瞳がジャバサにそっくりだったように)、だから気に病む必要はないと。

 

ジョーからの逃走の途中、妻の一人であるトーストが弾丸を装填しながら「この大きな銃にはたった4発。役立たず。でもこのペニスみたいな(小さい)銃には29発も」と言い捨てると、ケイパブルだったと思うのですが「弾丸は種。植えられたら死ぬ」と受けるシーンがありました。

銃が男根、弾丸が、強制的で暴力的な妊娠、望まないのに受け入れさせられる精子の暗喩になっている。

(ここでペニスに例えられるのは大きなショットガンではなくて手のひらサイズの小さな拳銃ですからね!俺のマグナムとかショットガンとか自称するほど御大層なものではない、と暗に示されてます)

 

逃亡の途中で死んでしまったスプレンディドも望まない妊娠でした。

忌まわしい性暴力の結果であるお腹の子には複雑な気持ちを抱いていたとパンフレットにも書いてあります。

それはダグも同じ。

お腹の子どもはジョーの子であり、男の子であればジョーに取り上げられリクタスやコーパスのように女達と敵対するように育てられてしまう。

 

でもそうじゃない、と老婆はダグにかかった呪いを解いた。

(呪いが解けなかったスプレンディドの子は必然的に死の運命だったともいえる)

呪いが解けたダグはその老婆の遺志を引き継ぎ、彼女が携えていた種を持ち緑の地に戻る。

彼女のお腹の子どもも手に持つ種も祝福されている。

決して容易くはないであろう映画の後の物語において、確かな希望として存在する。

素晴らしい物語じゃないですか~~~~~(大泣き)

性暴力サバイバーへの配慮さえ感じる…

 

次回も神たりえなかったフュリオサと女達について続くよ!!!!