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bloody’s diary

☆血反吐を吐きつつ書くブログ☆

映画「イミテーションゲーム」を見たよー!

映画

私の地域では公開が遅くてようやっと見てまいりました。

imitationgame.gaga.ne.jp

同じくSHERLOCKファンの友人と「ベネネだね☆」と楽しみに見に行ったのですが、見終わった後の気持はもうなんというか、重かったです。

映画化されるにあたって脚色されたところはあれどだいたいが事実に基づいている物語なので、ネタバレも何もあったもんじゃないとは思うのですが、まだ映画館で上映されてる作品でもあるので隠しておきます。

エニグマ アラン・チューリング伝 上

エニグマ アラン・チューリング伝 上

  • 作者: アンドルーホッジス,Andrew Hodges,土屋俊,土屋希和子
  • 出版社/メーカー: 勁草書房
  • 発売日: 2015/02/20
  • メディア: 単行本
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映画はアラン・チューリングが同性愛の容疑で取り調べを受ける戦後と、エニグマ解読に挑んだ戦中、そして彼のルーツとなる学生時代を行き来してアラン・チューリングという人物を描き出そうとしてます。

私は数学的なことはさっぱりわかりませんが、人間関係の機微に疎くて自分が周りから疎まわれてることにも鈍感な主人公の有り様にオナカイタイ思いながら見てました。

 

学生時代、恋心を抱いていた友人が暗号論の本を読んでいるのを見て

「君たちの言葉と似てる。口に出す言葉には別の意味がある。僕にはそれが分からないけど」と言い、友人が笑って「きっと君に向いてるよ」とその本をチューニングに差し出します。

 

その後、軍の暗号解読プロジェクトに参加している時、同僚が作業中のチューリングに「僕達ランチに行くよ」と何度か話しかける。

チューリングはそのたびに「ああ」と返事する。同僚は「僕は何度同じことを言えばいいんだ?」と苛つくシーンがありました。

私は字幕で見たし、英文だとニュアンスが違うかもしれませんが、チューリングにとっては同僚からの報告でしか無く、ランチに行くみたいなどうでもいい報告をされても生返事しか返せないんですよね。

でも同僚にしてみれば「僕たちはランチに行くよ(よかったら君も一緒に来ないか?)」であって実は口には出していないカッコ内の部分の方が主要な意味なのです。

でもそれはチューリングには分からない。

その後他の人が会話に入ってきて実はチューリングもお腹が空いていてランチに行きたいと思っていたことが明かされて、彼をランチに誘ったつもりだった同僚はなんとも言えない表情をしている様子が描かれていました。

 あの組織には英国でもトップの頭脳を持つ人々が集められたはずで、そういうチューリングがそういう特徴的な考え方をするのに気づいたらすぐ対応できそうなものなのに、同僚たちは彼に異質なものを感じ、徒党を組んで彼をチームから外そうとします。

こういう時のホモソの結束力の強さや汚さは物凄いよなーと苦々しく見てました。

それくらい嫌な感じで描写されていました。

それを回避させたのが、当時としては異例の採用だったキーラ・ナイトレイ演じる女性数学者ジョーン・クラークで、このジョーンとチューリングの関係がひたすら辛い映画の中では理想的に描かれていて一筋の希望となってました。

 

このジョーン・クラークは非常に優秀だったにも関わらず公然と女性差別があった当時の規則のせいで大学からの学位を授与されなかった経歴の持ち主です。

暗号解読を担当する政府組織の採用試験でさえまともに受けることが出来ない、女性というだけで自動的に「秘書課の試験へ」と強要されてしまう。

チューリングでも8分かかると言ったパズルを5分強で解いてしまう明晰な頭脳を持ちながら、家族に勤めることを反対される。

チューリングはジョーンの才能に目を見張り、彼女が働けるよう情熱的に行動を起こし、ついには婚約さえしてしまう。

彼らは余計な付属物に惑わされることなく、お互いの頭脳や才能に純粋に惹かれ合って信頼関係を作り上げます。

ジョーンの助言に寄って同僚たちに配慮することによって、同僚もチューリングに対して当たりが柔らかくなり、ついには彼の才能を認めてチームワークを発揮し始めるようになるんですが、それできるなら最初からやれよ!という気持でいっぱいでした。

彼らが本当にいい仕事をしたい、国に貢献したい、戦争を早く終わらせたいと思い論理的に考えることができるのであれば、優秀な才能を認め、その才能が遺憾なく発揮できるような環境を整えて共に目標に向かって誠意を持って仕事をすればいいだけの話なのに、感じが悪いとか腹芸をしないなどという陳腐な理由で彼を排除しようとしたんですよ。英国でもトップクラスの頭脳の持ち主(だとされる人々)たちが。

暴力を嫌うチューリングがひたすら戦争の早期集結を目標に黙々と働いていたのに。

どれだけ人はしょーもない感情で動いているのかを改めて突きつけられた気がしました。

また戦争は情報戦、どれだけの腹芸ができるかが問われる事態なので隠すことが多かった彼にとってはどれだけストレスフルな状況だったのか想像するだけでも本当に腹痛がしそうになりました。

 

彼はエニグマを読み解き、後世まで残るような偉大な功績を残したのですが、当時イギリスでは違法であった同性愛の罪に問われ、ホルモン投与を受け始めた翌年に41歳という若さで自殺してしまいます。

(イギリスでは1967年、ソン・ガンホが生まれる年まで同性愛は違法でした)

生きていれば、彼の才能が何の抑圧もなく発揮されれば、どれだけ未来は変わっていただろうと思わずにはいられません。

 

私この映画を悲しい切ないだけで片付けてはいけないなと、怒らなきゃならないとエンドロールを睨みつけながらすごく思いました。