bloody’s diary

☆血反吐を吐きつつ書くブログ☆

映画「渇き」を見たよ!!!

邦画の「渇き。」じゃなくてパク・チャヌク監督作品の「渇き」の方ね!!


渇き : 作品情報 - 映画.com

 

エミール・ゾラの「テレーズ・ラカン」という不倫小説を原作に、人助けをしたいと一途に思いつめた敬虔な神父サンヒョンが、運命のいたずらでヴァンパイヤになって不死の病から蘇生した後の物語です。

 

この物語、前半はけっこうな不倫メロドラマで大胆なラブシーンもあるのですが、後半はシュールでコミカルな色が強くなってます。

でテーマがテーマなので、全体的に私の苦手なグロ描写がきつくて血まみれ。

効果音などもけっこうドギツくて、私は見終わった後しばらくぐったりして内容を受け止めきれませんでした。

どう評価していいか悩んでたら、時間が経つにつれ最初のショックが遠のいてきて冷静になりました。

で、分かりました。

 

私、この映画、とても好き!!!!!!

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まず、ソン・ガンホに神父コスさせてヴァンパイヤを演じさせるそのアイデアを私は賞賛せずにはいられませんよ!!

だってヴァンパイヤですよ?

だいたい二枚目が演じるじゃないですか。

ドラキュラZEROではルーク・エヴァンスが演じたし、トワイライトシリーズではその後絶世の美男子を演じたロバート・パティンソンだし。

それをパク・チャヌクは当時もう40過ぎてたソン・ガンホを選んだの!!

で、パク・チャヌクはそのソン・ガンホがまるでモニカ・ベルッチであるかのように気合入れて撮ってるの!!!

ソン・ガンホもまるでモニカ・ベルッチみたいな感じなの!!!

とにかく凄いの!!!!

(以下ネタバレありです)

 

 

 

この映画の主人公のサンヒョン神父はカトリック系の病院に勤務していたが、亡くなっていく病院を看取るだけの仕事に自分の無力さと厭世観を感じ、不死の病の研究のための生体実験に参加し、死んでしまう。

が、輸血に使われた血液にバンパイアのが混じっていたらしく、バンパイアとなって復活する。

しかし彼は神への祈りの言葉を唱えながら生き返ります。

つまりバンパイアでありながら神に仕える神父として生まれ直す。

 

死からの復活はいかにもキリスト教的なモチーフで、サンヒョンも奇跡の人として救いを求める人々から敬服を集める。

とはいえサンヒョンは命をつなぐためには人の血液が必要な忌むべきバンパイアであり、彼の祈りを求めてすがりついてくる人に対しては複雑な思いを抱いている。

バンパイアとして感覚が鋭くなり欲求を抑えられなくなったサンヒョンは、幼なじみの妻テジュに誘惑され一線を越えるのですが、この情事が中断した後、何くわぬ顔でリビングで行われていた麻雀に混じり、他の人に混じって会話するシーンは、非常に官能的で素晴らしいです。

直前のラブシーンより色気があって私は好きです。

 

タイトルにもなっている「渇き」、これはバンパイアになる前に渇望したものへの欲望が強くなるんじゃないかと私は解釈しました。

 

サンヒョンは性愛と家族、もう一人の主人公テジュは見返りを求めない無償の愛と自由と力。

だからサンヒョンはガンウの家に入り込み、最後までガンウの母を殺せない。

(原作に忠実なだけかもしれないですけどね!) 

 

生まれ直してもう一度人生をやり直しているから、一度テジュに拒否された後に慌てて彼女を説得しにいく行動や言葉が、医大に進学すればよかったと師から嘆かれていたとは思えないほど、少年のように初々しく幼い。

この、テジュがトイレで用を足してる最中(この監督はトイレ中になんやかやさせるの好きですね)、デリカシーも何もなくトイレに入り込んで「なんでなの?僕が神父だから好きになったの?バンパイアだから嫌いになるの?どうして?」って畳み掛けるように聞き、「こんなところから連れだしてあげるよ」と相手の意志も確認しないまま抱き上げたものの、人が来たことで慌てて窓から逃げ出す(この時窓に神父服の長い裾だけ残る映像が素晴らしいんです!!)、一連のサンヒョンがあまりにみっともなくておかしくて、でも可愛いいんです。

息もゆっくりできない家で、唯一一人になれる場所に無神経に入り込まれたテジュには迷惑な話なんですけど、テジュは窓から逃げて電灯に八つ当たりしてる神父の背中を見送る。

 

テジュは3歳の時に両親が失踪して以来、病弱で度を越えたマザコンの男ガンウとその母親ラ夫人と共に暮らし、長じてガンウの妻になった女性です。

施設にいたサンヒョンに一度だけインスタントラーメンを食べさせたというエピソードを恩着せがましく何度もサンヒョンの前で繰り返し語ることから推測するに、ラ夫人はテジュにはもっと抑圧的にふるまっていたのでしょう。

望んで結婚したわけではなく、夫を心から愛しているわけでもないことはテジュが画面に始めて登場するシーンでも病床に伏せる夫と、息子を思って取り乱している義母の方など見ることもせず、手慰みに服をいじりながら露悪的な笑みを浮かべているところから推測されます。

 

そのテジュはサンヒョンと一線を越えたことでより一層大胆になり、二人でガンウを釣りに誘い出し水の中に沈めて殺します。

ラ夫人は溺愛した息子が死んでしまったことでショック状態になり、全身不随になる。

好きでもない夫がいなくなり、自分を押さえつけていた義母が生きてはいるが無力な状態になったものの、それはテジュが求めていた自由とは違うものでした。

彼女を押さえつけて縛り付けていたものが、ガンウとラ夫人からサンヒョンに変わっただけ。

一層悪いことに、ガンウもラ夫人も彼女の命を奪うまでの力も意志もなかったけども、サンヒョンはテジュを殺せるだけのバンパイアとしての超人的な力がある。

状況がより一層酷くなったことに気づいたテジュは取り乱してラ夫人に許しを請い、サンヒョンに辛辣な罵り言葉を投げ、ガンウの元に行きたいと逃げながら絶叫する。

それを聞いたサンヒョンは思わず彼女を殺してしまう。

 

物言わぬラ夫人のそこだけ動く瞳に見つめられ、我に返ったサンヒョンはテジュを復活させようと自分の血をテジュに飲ませようとする。

ここからのシーンがグロいけれど耽美的で美しい。

サンヒョンはバンパイヤなので少しの傷ならすぐに回復してしまう。

だから血が流れるくらい深く腕を切り、彼女の唇に血を垂らす。

同時に彼も血を飲むためにテジュの腕を切り、そこにしゃぶりつく。

(お互い与え合う形は、これ以前の病院でのラブシーンでもあって、キリスト教の儀式を思わせるようにテジュの足に口付けるサンヒョンの手の親指をテジュは口に含む官能的なシーンでした。)

息を取り戻したテジュにもっと血を与えるためにサンヒョンは自らの舌を切り、出てきた血をテジュに与え、テジュもむしゃぶりつくようにサンヒョンに抱きつき一心に血を飲み続ける。

目覚めたテジュにサンヒョンは「ハッピーバースデー」と祝福を与えるんですけど、これ殺す前のシーンで「私は誕生日を祝ってもらったことはない。孤児だから誕生日も知らない」というテジュの言葉にかかってるんですけどね!!

伝わらないでしょうが、私は書きながらあの場面とストーリーに心底感嘆してます。

本当に素晴らしいストーリーと映像なんですよ!!

 

再生したテジュには見返りを求めず愛してくれるサンヒョンがいて、サンヒョンと対等に渡り合えるだけの力もある。

求めていた自由を思うがまま味わうことができて、今までできなかったように欲しいものは力づくで奪え、気ままに振る舞える。

このバンパイヤになってからのテジュが本当に魅力的で美しく、冒頭に出てきた垢抜けないボサボサの髪をした女性とは別人になってます。

サンヒョンに反抗して憎まれ口をたたきながら逃げるけど、追いかけてくる彼の姿が見えないと不安そうに辺りを探す様子も子どものようで可愛らしい。

サンヒョンは映画冒頭で生まれて色々経験して成長し、この時点では大人になってます(白シャツになってからのガンホちゃんも神父コスと同じくらい素敵)がテジュは生まれたばかり。

子どものように貪欲に血液と愛情を求めます。

 

結局神父として再生したサンヒョンは罪の意識に耐えられず、テジュを連れて破滅への旅に出ます。

ラ夫人と共に。

もうすぐ夜明けになる頃、見渡す限りの平原にやってきて、車のキーを海に捨てる。

テジュは必死に、サンヒョンと共に生きようとする。

力任せに彼を車の中やトランクに押し込めるけど彼はそのたびに拒否する。

(トランクに入ったり、トランクの蓋を取り合いして投げたり、車の下に潜ったり、車を移動させたり、このやりとりがおかしくて可愛くて切ない)

やがてどうやってもサンヒョンの決意を変えることはできないと悟ったテジュは、逃げると言われてなんとか持ちだした荷物の中から彼の靴を取り出す。

これ、ガンウの家にいるのが苦しくて夜抜けだして裸足の下着姿で走っていた時にサンヒョンに出会い、与えられた靴なんです!!!(このシーンもロマンチックで美しい)

テジュはそれを家を捨てて取るものもとりあえずの逃避行の荷物として忘れず持ってきてたんですよ!!

最後は二人ボンネットに寄り添って座り、静かに言葉を交わし、海から流れる朝日を眺めます。

二人とも儚く短かったけれども、望んでいたものを手に入れることができたからここで満足して静かに終わりを迎えられたんじゃないかと思いました。

バンパイヤは日光で死んでしまうので二人非常に苦しむのですが、テジュがずっとサンヒョクに抱きついてるのが可愛くて、最後灰になったテジュのあしから靴が落ちてエンドシーンになるのに私はもう鳥肌でした。

 

全編好きなシーンだらけなので書き始めたらキリがないのでこの辺で終わります。

けっこう振り切ってる映画で好き嫌いは別れると思うので万人にオススメはできませんが、私は大好きです!!!!