bloody’s diary

☆血反吐を吐きつつ書くブログ☆

映画「ゴーン・ガール」見てきた!!!!!

いやーーーーーすごかったですよあのカタルシス!!!

さいっっっっっっっっっっこうの結婚生活やないですか!!!!

結婚なんてしないと思ってたけど、ああいうスリリングでエキサイティングな生活ならしてみたい!!!!!めっちゃ楽しそう!!!!!


映画『ゴーン・ガール』オフィシャルサイト

 

ネタバレというには弱い、ネタバレを求めて読むとがっかりするレベルですが、うっかり目に入ってしまうとがっかりされる方もいらっしゃるかもしれないので、以下隠します。


映画『ゴーン・ガール』予告編 - YouTube

 

 まず私うっかり詳細なあらすじを映画を見る前に読んでいたので、ラストまでわかっていて見に行きました。

それを読むとエイミーへの悪印象が強くてクソ女じゃないか!と思ってたのですが、映画見ると印象がだいぶ変わる!

 

エイミーは精神科医で著名な作家でもある両親の元に生まれ、文化教養レベルの高い家庭で育ちハーバード大学を卒業したエリートであり、NYでライターをしており、美しいブロンドと全ての人に好かれる魅力をもっている。

しかし両親が書いているのは「完璧なエイミー」という自分でありながら自分とはまったく違う「理想の娘」を描いたシリーズで、それ故の屈折も抱えている。

主人公、私の愛するベン・アフレックが演じるニックは彼女と出会い、夢の様な2年間を過ごし、ドラマチックなプロポーズをして結婚する。

やがてNYを不況が襲い二人は失業、ニックの母が乳がんに倒れ、ニックは妻に相談することもなく母を看病するために故郷のミズーリに妻を伴い帰郷する。

やがてニックの母は亡くなり、ニックは妻の投資信託を元手にバーを買い取り、双子の妹と共同経営者として経営、ライターの経験を活かし、地元の大学で講師として勤めるようにもなる。

やがてカレッジのクラスで知り合った学生と不倫関係に陥り、それを知ったエイミーはある計画を練り上げる――

 

エイミーは傍目には本当に完璧な女性です。

頭もよくて両親からも愛されており、教養も知性もあり美しい。

ただニックはその完璧な妻にふさわしい夫である努力はしない。

出会った頃、付き合った頃は彼女の気を引こうとそれなりに装っていたけれど、結婚してからは失業しても次の職を探そうともせずテレビゲームに明け暮れ、妻に八つ当たりする。

 妻に相談することもなく故郷への移住を決める。

ここで彼女は愛するNYからもキャリアからも遠ざかってしまう。

地縁からも血縁からも切り離されて夫の故郷へと連れて行かれる。

これは結婚制度では今でも普通にありえることですが、その恐ろしさの一端がかいま見える。

妻の都合も顧みず、勝手に故郷に帰り、自分は勝手に若い愛人を作り、高学歴で頭もよく才能溢れる妻をただ夫の帰りの遅さを文句言いながら待つだけの無能なつまらない女として扱い、離婚する、すなわち捨てようとした。

そんなこと許されるはずないじゃないですか!

 

少なくともNYにいれば彼女自身のツテや両親の人脈を辿ってライターとしての職は得られたはずだし、ライターじゃなくてもNYにいれば何らかの職には就けていたはずです。

それに彼女自身洗練された家庭で育ったお嬢様だから、NY、都会的なセンスから離れて生きるのは辛かったはず。それでも彼女は愛する夫にしたがってミズーリに来た。

本当なら有名人の娘であり自信も高学歴のエイミーが大学の講師をした方が妥当なんだけど、それは夫のために夫に譲っている。

プルーストや印象派のことを語り合うこともできない、テレビとリアリティ番組好きのつまらない男に知性を与え自分と同じとこにまで引き上げた。

そして彼の故郷のミズーリではニックにふさわしい妻であるために職業にもつかず主婦としておとなしく家にいた。

それなのに彼がしでかしたことといったら。

 

それから彼女は自分の持ち前の能力やキャリアをフルに発揮し完璧な計画を練り上げ、抜群の行動力で確実に実行していく。

生まれ変わったようにいきいきと。

すべては夫を陥れるために。自分をつまらない女にした夫に、自分の持てる力の全てを使い復讐する。

あなたはただの愚鈍な男、あなたがつまらない女だと思っていた妻が仕組んだ完璧な罠に落ちてあがいて死ぬ、と。

 

細かい描写だと、ニックはクソ男なんですが男性としてはチャーミングであり、だからこそ酷い状況にあって打ちひしがれた夫を演じなければならなくても、女性には愛想よく振る舞ってしまい、双子の妹や弁護士に舌打ちされるところや、脇が甘いせいでSNSに女性と笑った写真を投稿されてしまうところ、妻と不倫相手を同じ手段で口説くところなど、リアリティあふれていて本当にいらつきました☆

 

ここ数日三枝和子のギリシャ悲劇の本を読んでいたのですが、あの有名なギリシャ悲劇の王女メディアを思い浮かべました。

ギリシア神話の悪女たち (集英社新書)

ギリシア神話の悪女たち (集英社新書)

 

 メディアは愛する夫のために王位を捨て国を捨て親を捨て弟も殺し、夫と共に母国から逃げ出す。

しかし夫は逃亡先で新しい女と王位を手にする。メディアは怒り、夫を助けた魔術で復讐する。新しい女とその父王を殺し、夫の嘆願にもかかわらず夫と自分の間に生まれた二人の子を殺す。

これを三枝和子は古い神の血を引く女神としての誇りゆえとしてます。

イアソンはただの人間でしかない、本来ならメディアとは釣り合いのとれない身分であるのに、そのイアソンが神であるメディアに対してそれにふさわしい扱いをしなかった、この上もない屈辱を与えたから、神としての罰をメディアはイアソンに与えた、という解釈です。

 

エイミーはニックの元に戻ってくるけど、生活は失踪した前には戻らないのは知っている。何しろ凄腕弁護士でさえ幾度と無く「She is good」と褒めたほど物凄く頭のいい女性だから。

でもカメラに向い切々と誠実に訴えた、演技することができた夫の姿を見て彼女は戻る。

そのためには自分の手を血で汚すことも厭わない。

そしてアメリカの大衆が大好きな「スウィートハート」、理想の恋人を知り尽くした自分の魅力をフルに使って演じきる。

もう真実の愛はいらない。ドラマが出来た。自分はこの事件をネタにいろんなビジネスを展開できる。そこに夫を巻き込んでしまえば、もう二度と夫は自分を裏切らず、結婚生活において昔よりもっと高い地位を得られる。自分を舐めた真似をすることもないだろう。

今度こそ結婚生活において女王になれる。夫から見下されたりないがしろにされることもない。

そのために全身全霊を賭けて自分の方が上であることを証明した。

真実の愛なんてどうでもいい。大事なのは女王として帰還すること。傍目から見て「真実そうに見える」のなら嘘でも偽りでもいい。自分は完璧に演じきれる。

その自信と誇りとともに彼女はすでに自分のものとなった王国に戻り王位に返り咲く。

そして最後までニックは自分の罪は理解できない。妻はただのサイコなビッチで人殺しだと思っている。 最後までニックは愚鈍で自分勝手であり、そうある限り彼にふさわしいのは有能でパワフルなクソビッチなんですよ。

 

ネットで「ゴーンガール」は「FROZEN」をもっとエグくて強烈にしたような話、という感想を見て、あらすじしか知らなかった時は首を傾げたのですが、今なら納得できます。

もちろん倫理的には許されることではありません。

でも私にとっては爽快なラストでした。

多分エイミーは自分の子どもさえ利用して常にニックに危機感を与え続けていくのでしょう。自分が自分であるために、それにふさわしい扱いを夫に要求する。

それは理不尽でもなんでもない。当然のことであり、ずっと妻たちが夫に求められてきたことに過ぎませんから。

 

いろいろ書き漏らした気もしますが、私よりももっと才能あふれる書き手さんがが素晴らしいレビューを次々と書いてくれることでしょう!